全日本学生囲碁王座戦 特別対局

平成22年1月23日、銀座インターネットフォーラムにて、昨年12月の第8回学生囲碁王座戦を制した山本拓徳さん(慶應義塾大学)と、張栩王座が対戦する学生囲碁王座戦特別記念対局がおこなわれました。
この対局は、プロの王座と学生王座が対局するという企画です。

過去の通算結果は、学生側の一勝二敗となっている。
今回の特別対局は、持ち時間1時間、秒読み30秒、自由置き碁2子逆コミ4目半という手合割りでおこなわれた。
注目が集まる中、対局開始の合図とともに山本さんが置いたのは、右上隅星と右下隅小目だった。

序盤、黒12は14からアテる方が普通である。
26のオサエは打ち過ぎで、29までとタネ石を取られてしまっては、既に白が一本とった格好。
黒34は17左のキリを見て好点だが、右下白3の石に対してカケを打つ方が優ったと局後に張王座の指摘。
黒58とツケコシた手はやはり損で、黒56と打った手を活かして、単に黒60とツケた方が優った。以下白67まで黒の形が崩されてしまっては黒が苦しそうである。
右上隅、右下隅と白が巧みに打ちすすめ、ここまで相当に黒が苦しそうである。


さらに白107まで左上隅まで荒らし、かなり白が好調のように思えたが、ここから山本さんが本来の力強さを発揮し始める。
黒108が厳しい狙いであった。
白は139とつながっておけば安心なのだが、張王座は131と厳しく中央の石に狙いを定めながら打ちすすめていく。
しかし、結局黒152まで簡単につながらせてしまっては白の打ち方が甘かったと局後に張王座はおっしゃっていた。

白153とコスんだ手は上辺の白を助けた方がわずかに優っていたらしく、また、白155の打ち過ぎもあり、154、162と打つことができては少し黒が良くなったようだ。
このまま正しく打ちすすめれば黒が1目半位は良いだろうと張王座が局後の検討でおっしゃっていたが、山本さんが小ヨセで損を重ねてしまう。
最終的に黒214が敗着となった。
この手で217と打っていれば、半目黒に残っていたらしい。

今回の対局は、日本経済新聞社HP 
NIKKEINETにて ライブ中継されました。

対局後の感想
張先生 「楽しい対局でした。序盤で少し差がついて駄目だと思ったけど、最後はドキドキしました。
負ける覚悟も芽生えたほどです。黒のミスで、一目のヨセで逆転できました。4目半のコミは意外と重く、絶妙なハンデだと思います。形勢がいいと思うとちょっとマズイですね。コミなしでも問題ないかも。」
山本くん 「張先生は本当に強かったです。こんなに強い人と打つ機会は滅多にないので、勉強になりました。序盤は知らない手を打って失敗しましたが、気を取り直して頑張りました。序盤で不利になるのには慣れています。知らない手筋も多かったです。コミ4目半はちょっと厳しい。」

山本拓徳学生王座(黒)VS張栩王座(白)
2子局 白番4目半コミ出し 白番半目勝ち

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